<専門医が教えるがんで死なない生き方>を読んだ



専門医が教えるがんで死なない生き方(光文社新書)
40歳になると、自治体より各種がん検診の案内がやってきます。検診無料クーポン券や、がん知識の普及案内冊子などが届き、安くがん検診が受けられる制度も利用できます。そこで、がんについて基礎的な理解をしたいと思い、光文社新書の「専門医が教えるがんで死なない生き方」を読んでみました。
著者は「放射線医が語る被ばくと発がんの真実」を書いた中川恵一氏です。さらに、岡山市から送られてきた冊子の内容も分かりやすかったので、あわせて内容を整理してみます。
まず前提として、がんはなってしまったら終わりの「不治の病」ではなく、完治の可能性もある病気だということです。それには、早期発見・早期治療が有効であり、たばこを止めてバランスの良い食事を取り、定期的に運動をする生活習慣により予防できるそうです。結論としては非常にシンプルなものです。
以下に、この本のポイントを箇条書きしますが、その前にちょっと思い出したのは、56歳で亡くなったスティーブ・ジョブズのことです。
彼はすい臓がんと診断されましたが、当初、手術を拒否し、絶対菜食・ハリ治療・ハーブ療法・心霊治療などを探し、マクロビオティックな療法を用いて完治を図ろうとしていたといわれています。その9ヶ月後、検査でがんが大きくなっていることが分かり、周囲の勧めもあり、考えを変えて摘出手術を受けたそうです。
とはいえ、早い段階で手術を受けていれば、彼の寿命が延びたのかどうかは誰にも分かりません。さらに言えば、近代医療を拒否して代替医療を選択することも、それは当人の自由です。
ただ、僕自身や両親などががんになったら、やはり、いちばん確実な治療方法を選択したいと考えています。もちろんそれはジョブズも同じで、彼は代替医療やマクロビ療法が一番効果的であると信じていたのでしょう。
一般的にも、がんの代替医療は社会問題になっています。「これが効く」というあふれる情報の中から、どれが信用できるか分からず、不安の中から藁にもすがる気持ちで購入した高額な商品が、悪質な業者による全く効き目のないものだった、というケースも少なからずあるようです。とりわけ問題なのは、ジョブズのように代替医療を信じるあまり、近代医療を拒否してしまうケースです。
単なるライフスタイルの話であれば、マクロビオティックや迷信に近いものを信奉することも個人の自由ですが、それが結局、適切な医療を選択するためのジャッジにも悪影響を及ぼすとなると、オルタナティブなものを信奉し鵜呑みにすることは、ひとつの危うさをはらんでいるものだと思います。
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●日本では2人に1人ががんになる
●喫煙者のガンになるリスクは、吸わない人の150%(男性160%、女性130%)
●喫煙&飲酒では、2000ミリシーベルトの被ばくに相当するがん死亡リスクがある。ちなみに肥満や運動不足、塩分のとりすぎは、200~500ミリシーベルト相当の影響。200ミリシーベルトの被ばくでは、がん死亡率は最大で1%程度上昇する可能性がある。
●遺伝性のがんは全体の5%であり、がんは生活習慣病の要素が大きい。
●がんが検診で発見できる1cmの大きさになるには長い年数がかかるが、その早期がんが進行がんに育つには、あまり時間がかからない。なので早期発見が重要。
●多くのがんで、手術と放射線治療は同じ治癒率。プラス抗がん剤が治療の軸になる。
●放射線治療の有効性に着目。通院治療が可能で、手術より安く治療できる。
●抗がん剤だけで治療できるがんは、わずかな例外以外にはない。
●ハムやソーセージなどの加工肉の食べ過ぎは良くない。塩分のとりすぎもダメ。
●食べものの「焦げ」はがんの原因になるか? → ドンブリ1杯の焦げを毎日食べない限り、まず問題にはならない。
●胃がんの大きな原因がピロリ菌。胃のピロリ菌は検査と除去が可能。肝臓がんの原因の8割は肝炎ウイルス。
●子宮頸がんの原因のほぼ100%が、性交渉による「ヒトパピローマウイルス」の感染。これはワクチン接種により予防ができる。
●喫煙者がベータカロテンを摂取すると、逆にがん死亡率を高めてしまう。
●九州北部では、C型肝炎ウイルスに感染している人が多く、そのため肝臓がんは福岡県や佐賀県に多い。
●がん検診の推奨頻度
・胃がん、肺がん、大腸がん ・・・年1回 (40歳から)
・子宮頸がん ・・・ 2年に1回 (20歳から)
・乳がん ・・・ 2年に1回 (30歳から)
・前立腺がん ・・・ 年1回 (50歳から)
※前立腺がんの検診推奨頻度については、今のところ色々な説もあるようです。
●住民検診で行っている検査項目以外の多くは、有効性は疑問視されている。なので受診すればするほど良いというものでもない。かえって弊害がでる要素もある。
●抗がんサプリメントなどは、ほとんど効果が期待できない。有効だというデータがない。
●先端医療に賭けたり、メディアで騒がれている方法に走ったりせず、主治医の判断を信頼して適切な保険診療を受けることがベスト。ただし、自分でもがんに対する勉強は必要。
●セカンドオピニオンの取り方
手術の専門家である外科医の他に、放射線治療の専門家、抗がん剤を専門とする腫瘍内科医の意見を聞くこと。
●治療費
・がん専門医は一般的な生命保険には加入しているケースが多いが、特別ながん保険にはほとんど加入していない。
・「高額療養費制度」があるので、月の支払いが8万円(※)を超える金額については払い戻しがある。
※一例です。様々なケースがあります。
がん治療費.comによると、がんの部位に関わらず、ステージⅠと比べてステージⅡから大きく治療費が増大します。高額療養費制度があるので、そのままこれが支払い金額にはなりませんが、この金額からも早期治療の重要性が分かります。
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●リンク
国立がん研究センター・がん情報サービス
がん研有明病院
日本対がん協会
がん情報サイト
がん治療費.com
●書籍
ビジュアル版 がんの教科書(中川恵一)
がんのひみつ(中川恵一)
専門雑誌・がんサポート(エビデンス社)
●電話相談
各種がん相談支援センター。岡山では大学病院、済生会、赤十字などにある。
岡山市保健所
●ジョブズ氏の自伝を執筆したウォルター・アイザックソン氏によるインタビュー
スティーブ・ジョブズ、ガン手術を9ヶ月先延ばしにしていたことが明らかに

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