「ゼロリスク社会」の罠・「怖い」が判断を狂わせる



Q:食品・医療・化学物質・放射能など、いろいろな説があって、何が危なくて何が安全なのかさっぱり分からない。もし何か「1冊だけ」本を読むとしたら、何がおすすめですか?
A:「ゼロリスク社会」の罠 ~「怖い」が判断を狂わせる(佐藤健太郎)がおすすめです。
医薬品メーカーを経て、サイエンスライターに転身した佐藤健太郎さんという方が書かれた本です。複雑で難しいことをシンプルに簡単な言葉で言い換える、その分かりやすさは群を抜いており、池上彰さんレベルといえるでしょう。この本も、もし面白くなかったら、僕がキャッシュバックしましょう!
特にお子さんを持つ方などは、色々不安になることも多いのではと推察するのですが、とはいえ、メディアというものは、センセーショナルさと不安や恐怖を煽ることにより、部数を増やしていく仕組みです。
冷静で客観的な意見を聞きたいということであれば、この本はリスクという考え方を軸にして、広い範囲のトピックに触れているので、入門編としてもおすすめです。
こんにゃくゼリー、カビないパン、トランス脂肪酸、などの身近な例をあげながら、世の中にあるリスクというものは、あるかないかの二項対立で判断できるものではなく、その量こそを問題にすべきであり、ましてや「リスクゼロ」のものは世の中に存在しないので、トレードオフでの選択しかありえないのだ、という合理的な観点について詳しく述べています。
そして、人間の持つある種の本能的な見知らぬものに感じる不安と恐怖、よく分からない新しいものは怖いと感じるような人間の考え方のクセを指摘し、それはバイアスと呼ばれる片寄ったものの見方であり、リスクを冷静に定量的にとらえて広い視野で判断していくことが、結局はメリットを得ることにつながるのだと論じています。
また、「天然なものは安全であり、化学的なものは安全かどうか分からない」といったイメージが誤解であることについての章、ホメオパシーを軸に代替医療・ニセ科学について論じた章や、放射能の基礎についての章も、重要な部分について分かりやすく解説しています。
「科学では解明できない、分からないことが世の中にはまだまだあるんだ。」という言い方も、そりゃそうだとは思います。けれど、われわれ素人が考えるよりは、科学で分かっていることって多いと思いますよ?
不安や恐怖を「分からないもの」という箱に収めてしまうのではなく、ここまでは科学で確実に分かっているんだということ、あるいは、科学的な考え方とは何かということに触れれば、見えてくる光景もまた違ってくるのかと思います。
▼「ゼロリスク社会」の罠・「怖い」が判断を狂わせる
http://www.amazon.co.jp/dp/4334037062

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